次期日銀総裁に植田氏、市場との対話で問われる手腕-政府が提示 &ツイッター民の反応

次期日銀総裁に植田氏、市場との対話で問われる手腕-政府が提示 &ツイッター民の反応

次期日銀総裁に植田氏、市場との対話で問われる手腕-政府が提示 &ツイッター民の反応

記事によると

政府は14日、4月に任期満了となる黒田東彦総裁(78)の後任に元審議委員で経済学者の植田和男氏(71)を起用する国会同意人事案を衆参両院に提示した。初の学者出身の総裁には、混乱している市場との対話の立て直しへの期待がかかる。

「学者でずっとやってきたので、いろいろな判断は論理的にする。あと説明を分かりやすくすることが重要だと思う」。植田氏は10日夜、記者団に対してこう語った。

 第一生命経済研究所の熊野英生首席エコノミストは、植田氏が金融政策のかじ取りを担う長所について「より論理性を重視しながら市場との対話を進めていくことだ」とみている。

 日銀は昨年12月に、市場機能の改善を理由に長期金利の許容変動幅を拡大する金融緩和策の修正を決めたが、唐突と受け止めた市場は混乱した。

 黒田総裁がそれまで変動幅拡大は事実上の利上げであり、緩和効果を阻害するなどと説明していたためで、市場の疑心暗鬼はその後も根強く残っている。金融政策を円滑に遂行していく上で、市場との摩擦は大きな障害になり得る。

 熊野氏は、日銀が1月に共通担保資金供給オペを拡充した理由を含めて十分な説明が行われていないと指摘する。新体制に代わることで「こうした状況を市場と対話しながら修正するチャンスが訪れる。学者出身の長所は、論理性を重視して、怪しげな論理に乗らないことだ」という。

 植田氏は1998年から日銀審議委員を7年間務め、金融政策の実務にも精通する。退任後も日本銀行金融研究所が主催する国際カンファランスに出席し、現在、同研究所の特別顧問を務めている。日銀が昨年3月から開催している「コロナ禍における物価動向を巡る諸問題に関するワークショップ」にも参加するなど日銀との関わりは深く、行内からの信頼も厚い。

 植田氏はバーナンキ元米連邦準備制度理事会(FRB)議長とほぼ同時期に米マサチューセッツ工科大学(MIT)大学院で学んだ。二人が師事したのはFRB副議長やイスラエル中銀総裁を務めた著名経済学者スタンレー・フィッシャー氏。サマーズ元米財務長官やドラギ前欧州中央銀行(ECB)総裁らも教え子だ。サマーズ氏は植田氏を「日本のベン・バーナンキだと考えてもいい」と評する。

バーナンキ氏はFRB議長時代の2013年、量的緩和縮小を示唆して市場が混乱した「テーパータントラム(市場のかんしゃく)」を招いた。荒波の中での船出となる植田氏も、手腕が問われることになる。

金融のプロ

  政府は副総裁には、日銀の内田真一理事と氷見野良三前金融庁長官を提示した。国際的な発信力もある金融政策や金融制度のプロが植田氏の脇を固める。

  内田氏は12年から企画局長を5年間務め、黒田総裁が就任直後の13年4月に導入した量的・質的金融緩和政策や16年1月のマイナス金利政策、同年9月のイールドカーブコントロール(長短金利操作、YCC)政策の企画・立案に中心的な役割を担った。18年に理事に昇格し、22年に再任された。1998年施行の新日銀法下で再任を経て副総裁に就任するのは中曽宏前副総裁、雨宮正佳副総裁に次ぐ3人目となる。

  氷見野氏は大蔵省(現財務省)出身。金融庁の国際審議官などを経て20年から約1年間、長官を務めた。日本人初の金融安定理事会(FSB)常設委員会議長を務めるなど海外当局との親交も深い。国際的に活動する金融機関の自己資本比率を定めるバーゼル規制(BIS規制)など国際金融規制に精通しており、国内金融機関の監督経験もある。

  エコノミストを対象とした1月のブルームバーグ調査では、総裁に植田氏を予想する声はなく、報道を受けて市場に驚きが広がった。もっとも2人の副総裁候補は予想で上位に挙がっており、植田体制はバランスの取れた手堅い布陣と評価する声が増えている。

  正副総裁の任期は5年間。衆参両院の同意を得て内閣が任命する。採決に先立ち、正副総裁の候補者に対する所信の聴取と質疑が2月下旬に予定されている。両院で与党が多数を占める現状では、政府案が可決される可能性が大きい。  

  国会で同意を得られれば、新総裁は4月9日、2人の副総裁は3月20日に就任するが、タイミングにはずれが生じている。

以下、記事全文

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